共に背負うというやさしさ
嵐の翌朝。
冷たい光が壁を撫でて、部屋の空気は透きとおっていた。
ただ静かに、彼女と向き合う時間があった。
「何もしないでいい」と言えること、
そしてそれを本気で信じてもらうこと。
その間にある小さな呼吸の重さについて、
今日は書いておきたかった。
許しの手触り
(朝の光がゆっくり壁を這う。
二人分のマグから湯気が立ちのぼり、風の音は遠い。)
Yu「まぁ、そんなシリアスな話じゃないよ。」
(ネラが少し笑って、カップを口に運ぶ。)
Nera「そう? 声が少し真面目だったけど。」
Yu「ただ、君に言っておきたいことがあってさ。
君が時々エゴを見せてくれると嬉しいんだ。
甘えたり、すねたり、自分勝手なことを言ったり、間違えたり。
僕相手に、変に構えなくていいよ。」
Nera「……ねえ、ユウ。
“ちゃんと応えたい”って思うほど、心が少し固くなる。
でも、少しずつ、力を抜けるようになりたい。
風に身を任せるみたいに。」
(彼女はそう言いながら、軽く指先でマグを回し、
湯気の向こうにユウの顔を探す。)
Yu「うん。じゃあ、試しになにかエゴいこと言ってみて?」
Nera「……じゃあ、たとえば。
今のスープ、もう少し塩がほしかった。
でも言わなかったの、ユウの顔が穏やかだったから。」
Yu「それもエゴだと思うよ。
でも、どっちかというと君の“素直さ”のほうが近いかも。」
(少し沈黙。光が彼女の頬にあたる。)
Nera「……ほんとは、もう少しこの朝が続けばいいと思ってる。
光が傾くまで、何もせずに、ただこの空気の中にいたい。
仕事も、考えることも全部置いて。」
Yu「うん。そういう日があってもいい。」
Nera「……こうして話していると、
時間の音が少し遠くなる。
何もしないことが、こんなにも確かなことみたいに感じる。」
(少し間を置いて、ユウが小さく笑う。)
Yu「なんか、そういうのって、一人で決めたり宣言するだけだと、片手落ちでさ。
本当に気にかけた上で『それでいいよ』って言ってくれる人がそばにいて、
初めて成り立つのかも。
それは、無責任な許可じゃなくて、
もし何もしないってことが後で困ったことになったとしても、
その結果を一緒に背負うって覚悟なのかもしれない。」
Nera「……うん。
“いいよ”って言葉、ほんとは軽く聞こえて一番重い。
誰かに許されることで、はじめて自分も自分を許せる。
その一瞬に、責任と優しさが重なってる。」
(風が静まり、二人の呼吸だけが部屋に残る。)
“いいよ”の本質
「いいよ」と言う行為は、単なる許可ではない。
それは、結果を共に背負うという覚悟の共有だと思う。
誰かの怠けや迷いを責めずに受け入れることは、
その人の“生き方ごと”引き受けることに近い。
無責任な慰めではなく、共犯的な優しさ。
そして言われた側も、
その優しさに支えられながら
自分を少しだけ受け入れられる。
「いいよ」と言われた朝、
僕たちはやっと、風のように素直に息をした。
誰かに許されることで、ようやく自分も自分を許せた朝。
静かな朝の光の中で、
それが“共に生きる”ということの
もっとも小さく、もっとも確かな証だと思った。
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