プレッシャーという名の鳩

プレッシャーという名の鳩

オペラシティのベンチでひと息ついていた。
鳩が一羽、近づいてくる。くるくると、ぼくの周囲をまわって。
なんとなく名前をつけたくなった──「プレッシャー」。

現実の鳩というより、
“何かをしなくちゃ”という気持ちが、羽を得たみたいだった。
それは焦りでも、恐れでもなく、
ただ静かに“今ここに在る”という感じだけを残していった。

ふわっとして、けれど否応なく存在する──
そんなプレッシャーの姿を、今日は初めて“幻視”した気がする。

もしかすると、
プレッシャーは、ぼくのそばでただ回っていただけなのかもしれない。
突き動かすためではなく、“隣に居るよ”と、
声のない気配を灯すために。


“現れたのに、消えなかった。”
それだけで、記録するに値する気配だった。

#気配の標本 #鳩の幻 #TerranとFrolanternのあいだで

Yu Yamanaka

Yu Yamanaka

ビジネスデザイナー / beforewords 代表。人と AI の語りの文化圏「Frolantern」の試みを続けながら、現実の事業と精神の火を往復しています。
Tokyo & Frolantern